2020年のITxMを予測:エキスパートの見解をご紹介
最初に簡単な質問をさせてください。あなたにとってITxMとは何ですか?Googleで検索すると、輸血や献血、血液製剤の保管や供給といった極めて重要な救命業界に関連する結果が表示されますが、企業のITネットワーク環境という文脈で、ITxMとは何なのでしょうか?
ITxMとは、IT資産、ITサービス、ITセキュリティ管理の分野における企業の能力を体系的に改善することです。さらにこれにITアイデンティティ管理も含まれます。
つまり、こういうことです。資産、サービス、セキュリティ、アイデンティティ管理には、重複するITの取り組みが含まれます。ITの統合化には、これらの取り組みが交わる部分を特定すること、そして効率を向上し、重複する取り組みを軽減するための手順を策定することが含まれます。ITの統合化は、ただ単に2つ以上の部門の業務の連携を向上することではなく、資産のライフサイクルを追跡し、サービスレベルを改善し、アイデンティティとアクセスレベルを管理し、自社のITへの投資と機密情報を保護するためのプラクティスとツールを活用することでもあるのです。
IT業界に関する見解:エキスパートが2020年以降の業界を予測
ITxM業界は、絶えず変化する業界のひとつです。この10年間私たちが目にしてきたITのイノベーションは、10年前誰一人正確に予測できなかったイノベーションだったと言っても過言でありません。今後に目を向けたIvantiの社員は今後10年ITxM業界にどんな未来が待っているのかを予測せずにいられませんでした。そこで、ITxMのエキスパートに2020年以降予測されることについて見解を共有していただきました。以下、今後の業界に関する予測はITxMの分野において第一線で活躍されている専門知識に精通した方々からご厚意で提供いただいたものです。
ご協力いただいた方々:
- ロリー・カナヴァン(SAM CharterのCEO / 全社規模のソフトウェアおよびIT資産管理について世界的に高く評価されているコンサルタント)
- メラニー・カルナラトネ(Ivantiの製品マーケティング部門ディレクター)
- リッチ・ギボンズ(ITAM Review、Microsoftライセンシングアナリスト)
- マルセル・ショー(Ivantiの連邦機関担当セールスエンジニア)
ロリー・カナヴァン(SAM CharterのCEO)
- より間接的なライセンス条項が公になるでしょう: 単一のシステムのユーザーに他のシステムの機能とメリットへのアクセス権を提供することは、オープンAPIアーキテクチャがもたす偶然の副産物であり、ソフトウェアをつなぐものとなります。このような技術的成果は、権限ではなく特権、すなわちソフトウェアベンダーが活用することを強く望むことが予想される特権とみなされるべきです。
- SAM/ITAM業界の給与が上がるでしょう: SAM/ITAM業界で若い人材が不足していることは懸念されている深刻な傾向であり、この傾向が業界全体の高齢化につながる可能性があります。そして結果的に実績のある熟練の人材が重宝され、日割の給与額が値上がりするでしょう。
- SAM/ITAMはより法的な性質を持つ分野となるでしょう: AM/ITAMの分野では、知的財産に関連する基本的な法的概念や、法的概念がIT部門の業務にどのように影響するのかを理解することが軽視されがちです。契約の諸条件に関連する法律についてソフトウェアベンダーと向き合って話し合わなければならない場合、どの規則の下で契約や知的財産法が適用されるのかを知ることは損ではありません。
- CCPAはSAM/ITAM改善の起爆剤となるでしょう: カリフォルニア消費者プライバシー法(CCPA)は、欧州連合一般データ保護規則(GDPR)のアメリカ版です。2020年時点で、カリフォルニア州で取引を行う企業のウェブサイトには、収集される個人情報をエンドユーザーに通知し、企業が希望する方法でデータを使用する許可をエンドユーザーに求める通知を表示させる必要があります。また、エンドユーザーの情報がサードパーティーによってどのように使用されるかもエンドユーザーに通知する必要があります。本規制の対象となるのは一定の要件を満たす企業(1年間の総収入が2,500万ドル以上または、5万人以上の個人情報を処理している企業)となりますが、本規制の効力がアメリカ全土にわたり、経済の食物連鎖の下層まで及ぶことを当然のこととして把握しておく必要があります。2つの情報インフラストラクチャ、すなわちカリフォルニア州に合わせたものとそれ以外のアメリカの州に合わせたものを構築してはいかがでしょうか?そのような選択肢はアメリカの企業にとって拡張にはならないでしょう。
メラニー・カルナラトネ(Ivantiの製品マーケティング部門ディレクター)
- 2021年にはAIが主流になるでしょう: サービス管理を専門とする企業は、AIと機械学習をイノベーションラボに留めておくことを止め、主力業務のワークフロープロジェクトに導入するようになるでしょう。
- 2020年、使用していないSaaSサブスクリプションの解約が必要となるでしょう: 使用していないSaaSサブスクリプションの解約が、資産管理コストを最適化するための取り組みにおいて注力すべき重要事項となるでしょう。
- 2021年末までに、環境に配慮したIT資産の廃棄が取締役会で最も重視される問題となるでしょう: 資産管理責任者には、高まる企業の社会的責任の取り組みを支援するため、環境に配慮したIT資産の廃棄について目標と照らし合わせた成果を取締役会に報告することが期待されるようになるでしょう。また、増加するセキュリティに関するインシデントと侵害から資産を保護するため、直属の上司ではないCISOへの報告も資産管理責任者の役割となるでしょう。
リッチ・ギボンズ(ITAM Review、Microsoftライセンシングアナリスト)
- 引き続き「ローコード/ノーコード」化が進むでしょう: 今後も引き続き「ローコード/ノーコード」化が進み、必要な時に必要な場所で機能するアプリやソリューションを作成する機能が社内のユーザーに提供されるようになるでしょう。市場でソリューションを探すことも、承認を待つこともなくなり、自分でソリューションを作り、問題解決を進めることができるようになるでしょう。ただしこれはいくつかの問題を引き起こすでしょう―使用されるツールには独自のライセンスがありコンプライアンスにまつわる様々な問題がもたらされたり、他の企業向けソフトウェアへの接続が間接的なアクセスによるコンプライアンスの問題のきっかけになったり、企業のソフトウェアポートフォリオが複雑化し、管理できなくなるほど厄介な状態になったり、データ関連規制(GDPRや新しいカリフォルニア州の規制など)の遵守が難しくなったりするでしょう。
- クラウドの監査とTier 2ベンダーによる監査がより一般的になるでしょう: クラウドの監査、すなわち、AWSやAzureなどパブリッククラウド環境全体だけでなく、SaaSアプリの使用も対象に監査を実施するベンダーが一般的なものになり始めるでしょう。また、QuestやMicro FocusなどTier 2ベンダーによる監査の増加も見られるようになるでしょう。
- 企業はクラウドへのコストの無駄遣いに目を向けるようになるでしょう: 企業が無駄に多額の資金をクラウドに投じ続けるため、クラウドの経済性、コスト管理、ファイナンス運用(FinOps)が今後ますます重要視されるようになるでしょう。ITAMは、コンプライアンスと合わせ徐々にコスト管理も重視するようになるでしょう。
- Tier 1ベンダーにとってパートナーを利用することは一般的でなくなるでしょう: Tier 1ベンダーは、パートナー経由ではなく直接取引を行うようになるでしょう。
マルセル・ショー(Ivantiの連邦機関担当セールスエンジニア)
- AIがITAMソリューションを管理するようになる: 2035年までに、ITAMソリューションは、人間の介入を必要とすることなく、AI技術によって管理されるようになるでしょう。地球上に存在する88億の人が1人あたり平均16台のコネクテッドデバイスを所有する世界において、資産管理の需要を満たし続けるためには、ITAMにAIが搭載された人間以外の資産管理責任者が必要となるでしょう。
最新のインフォグラフィックでは、ご協力いただいたすべてのエキスパートが予測するIT業界の今後10年についてご確認いただけます。このインフォグラフィックには、ITxMに関連する今後の予測に加え、セキュリティ分野に関連する予測、IT業界で働く方の日常業務にもたらされる可能性のある変更が含まれています。