ソフトウェア資産管理(SAM)について考える時、ほとんどの方(多くの方がそれについて一切考えないようにしているのが実情ですが…)が、業務妨害を極力減らし、監査にかかるコストを削減し、ベンダーから多額の違約金を請求されることを避けるためコンプライアンス遵守の状態を維持することについて考えます。これに当てはまる多くの方々の肩を持つわけではありませんが、確かにコストのかかる監査や訴訟を避けるため、使用している製品に対して適切な料金を支払っているか確認することはSAMの大部分を占めています。

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ただし、SAMについて考える場合に監査とコンプライアンスという限られた視野でしか考えられない場合、SAMを導入していても損をしている、つまり、本当の意味でソフトウェアを管理することによってもたらされる大きなメリットを逃している確率が非常に高いと言えます。SAMから得られる大きなメリットを3つご紹介します。

メリット1: ライセンスが付与されていないソフトウェアを管理できる

会社が購入したソフトウェアは、SAMの取り組みの対象となる可能性が最も高いプログラムである一方、社内のマシンで使用されているソフトウェアの一部に過ぎない可能性があります。この種のソフトウェアを追跡することはもちろん重要ですが、ベンダー監査のためには、社内で使用されているすべてのソフトウェアを追跡することが求められます。その理由は、たとえ無料で使用できるものであっても適切に管理されていなければ、企業がリスクにさらされることになり兼ねません。

例えば、多くのフリーウェアアプリケーションは、エンドユーザーライセンス契約(EULA)に基づいて提供されており、ほとんどのEULAで企業内でのアプリケーションの無料使用が禁止されています(企業内で使用する場合は有料と規定されています)。一部のソフトウェアは違法な操作を行うために使用できる可能性があるため、社内環境での使用を禁止する必要があります。いずれの例も、ソフトウェア管理者にはリスクを軽減する責任があります。だからこそ、マシンにインストールされているすべてのソフトウェアを追跡する必要があるのです。

ITに関連する他の部門に目を向けて見てください。セキュリティ部門は、社内環境で使用されていてパッチの適用が必要なプラグインやフリーウェアを把握したいはずです。調達部門は、社内で調達部門以外が購入したソフトウェアについて把握したいはずです。サービス提供部門は、カタログに追加するためカタログ経由で入手できないものの社員が使用しているソフトウェアについて知りたいはずです。セキュリティ部門、調達部門、サービス提供部門が、インストールされているソフトウェアや各ソフトウェアが存在する場所を把握する手段をまだ持っていない場合、これらの情報を共有することで間違いなく恩を売ることができるでしょう。各部門がこれらの情報をすでに把握しているのであれば、それらの情報を利用することができるため、ご自身で探す手間を省くことができます。

メリット2:予測できる

幸い、多くのサブスクリプション方式のアプリケーションは、自己管理となっているため、自分で購入した数以上のライセンスを誤って使用することは不可能です。これは表面的には、これらのサブスクリプションを管理するためにソフトウェア資産管理者がやるべき仕事はほとんどないことを意味していますが、現実はまったく逆で、ソフトウェア資産管理者には管理すべきことがたくさんあるのです。その理由は、これらのサブスクリプションの使用状況を把握していなければ、購入した数よりも使用されている数が少ない場合、すなわち、必要数をはるかに上回る数のサブスクリプションを購入している可能性がある場合に、その事実に気付けないからです。

使用数と購入数を把握することの最大のメリットのひとつが、必要なサブスクリプションのみに料金を支払っているという確信を持てるようになることです。これはソフトウェア購入の最適化につながります。Microsoft Office 365などのバンドルライセンスの場合、さらに最適化が期待できます。なぜなら、例えばE5が本当に必要なのかを判断することや、一部のユーザーはE3しか使用していないことを特定することができるからです。

ここまで把握できていれば、今後必要になる可能性があるものを簡単に特定できるため、企業の要件をサポートし続けるために必要な予算も予測できるようになります。

メリット3: 契約内容を再交渉できる

ソフトウェアを適切に管理できていれば、契約内容を再交渉する際に有利な立場に立つために必要な3つの情報を入手できていることになります。その3つの情報とは…

  1. 付与されているライセンスの内、現在使用しているライセンスの数
  2. 次の契約期間中、必要となることが見込まれること
  3. 次の契約更新のタイミング

これらの情報を把握していれば、交渉を予測し、現行の契約内容を維持するため先方が提示する条件をそのまま受け入れることを強いられることがないよう、交渉を更新日よりもかなり早い段階から始めることができます。多くの企業が実際に使用しているライセンス数を把握していないため、契約期間中企業に必要となる可能性があるとベンダーが考える内容を受け入れざるを得なくなってしまっているのです。

適切なSAMプラクティスを導入することで企業にもたらされるメリットはこれ以外にもたくさんあります。SAMのプロセスを改善することによってもたらされるメリットの中で、これまで予想もしていなかったけれどこんな大きなメリットがあったのか、と思ったメリットは何でしたか?