ITAM (IT資産管理)・UEM(統合エンドポイント管理)導入の意味
1996年、ワシントンD.C.とその周辺地域は猛吹雪に見舞われ、地域全体の企業が休業状態に陥る事態が発生しました。今では、テクノロジーの進歩によって、人々は場所を問わずに仕事ができ、このような吹雪による休業もなくなりつつあります。
モビリティソリューション、クラウドソリューション、そして軽量ノートパソコンのおかげで、仕事に必要なツールをほぼあらゆる場所から利用できるようになりました。しかしながら、このようなテクノロジーの進歩によって別の影響も出ています。多様なプラットフォームを組み合わせたITソリューションをサポートするIT部門は、大きな負担を強いられるようになっています。
多くの組織が競合他社に遅れを取らないよう、そして顧客の要求に見合う体制を整えるために、デジタルトランスフォーメーション戦略を推し進めています。今のところIT管理者の需要は減少するとは予想しにくい状況にあります。デジタルトランスフォーメーションを実現するため、組織ではIT資産管理 (ITAM)と共に統合エンドポイント管理(UEM)ソリューションを導入しています。どちらの戦略もIT資産に注目したものですが、その目的は同じではありません。では、その違いとは何なのでしょうか?
統合エンドポイント管理(UEM)
IT資産のサポートにおいてIT管理者は、VPNサービス、Eメールサービス、そしてWi-Fiなどの接続サービスに使用するデバイスを設定し、その維持も行わなければなりません。しかしながら、デバイスの維持には多くの作業が待ち構えています。アクセスポリシー、更新プログラムのインストール、アプリケーションの制御や管理、レガシーアプリケーションの導入と管理、暗号化の実行、プリンター管理、監査の実施。これらをIT管理者が担当しなければなりません。
複数のプラットフォームとオペレーティングシステムによって構成された多様な環境において、IT管理者はこれらのタスクを実行するという課題に直面することになります。単一のインターフェースを用いることで、煩雑なIT資産の管理プロセスを単純化することが、UEMの目的となります。
ガートナー社は、「UEMは、モバイル機器、PC、その他のデバイス用の単一管理インターフェースとして機能する新しいタイプのツール」と説明しています。
UEMソリューションは、続々と追加されるIT資産を管理するIT部門にとって極めて重要です。UEMソリューションがなければ、IT管理者は、たった1つのタスクを実行する場合でも、各種ツールを習得しなければなりません。こうした理由により、多様なプラットフォームからなるIT資産を保護、管理、導入する方法として、多くの組織がUEMの利用を進めようとしています。
ガートナー社は「 I&Oリーダーは、最新のさまざまなOSにも対応できるように、エンタープライズモビリティ管理とクライアント管理ツールからUEMへと切り替える計画を立てなければならない」と主張します。
単一コンソールによるエンドポイント管理を実現するためにUEMソリューションは一般的に4つの鍵となる要素が必要となります:
- 検出
IT資産はUEMソリューション内に文書化される必要があるため、検出ツールは必要不可欠です。UEMの検出ツールは、さまざまなプラットフォームとオペレーティングシステムに対応します。
- セキュリティ
UEMソリューションは、そこで管理するIT資産を守らなければなりません。そのためにUEMソリューションは、アプリケーションを最新の状態に保ち、適切なセキュリティコントロールの導入とポリシーの適用を確実に実行しなければなりません。
- 統合性
統合性はUEMソリューションにとって非常に重要です。統合することによって管理者は、単一コンソールで全てのIT資産を確認して管理することができます。その成果としてエンドポイントのサイロ化も取り除くことも可能です。統合することができなければ、管理者は複数のプラットフォームでIT資産を管理しなければならず、各種管理インターフェースを習得するよう求められます。
- 自動化
UEMソリューションがネットワーク上で他のソリューションと統合している場合、手作業で行っているタスクを自動化することで劇的に諸経費を削減することができます。例えば新しい社員がネットワークに接続する場合、UEMのタスク処理を開始するためのトリガーを人事部(HR)のアプリケーションから実行され、新入社員に必要なソフトウェアパッケージを自動的に提供するようなことも可能です。
プロセスの自動化は、デジタルトランスフォーメーションにとって鍵となる要素です。アシシュ・デシュパンデ氏は、このことに関してForbes.comで次のように述べています:「最終的には、テクノロジーではなく、人が変化をもたらします。取り立てて重要ではない仕事や急場しのぎの手作業に無駄な時間を割くことがなければ、多くの人が本当に重要な課題に取り組むことができるでしょう」
IT資産管理 (ITAM)
IT資産は、組織の事業目的を支援するために使用されるハードウェアとソフトウェアの両方を意味します。IT資産管理 (ITAM)は、リスクとコストの削減に加え、IT資産の管理とコンプライアンスを高めることを目的とした規格・標準、プロセス、ポリシー、評価指標になります。そうすることで、正確なインベントリレポートを組織に提示することができます。
正確なインベントリレポートを用いることで、詳しい情報に基づくIT資産の購買決定を行うことができます。IT資産を管理する上での課題は、IT資産が頻繁に更新、移動、刷新されることにあります。それが原因となって資産情報を最新の状態に維持できないことがよく見られます。
不正確なIT資産レポートを用いると、不要なIT資産の購入、ソフトウェア監査、そしてセキュリティ違反が発生する可能性があります。ITAMを有効活用するには、各IT資産関連のコストを組織が追跡できるよう、IT資産をそれらの契約情報や財務情報にマッピングするプロセスも実行する必要があります。
ITAMでIT資産の廃棄から購入までを継続して追跡することができますが、そのことをIT資産ライフサイクル管理と呼んでいます。ライフサイクル管理には、ハードウェアの刷新に合わせて、廃棄された機器のソフトウェアライセンスを適切に回収し、それらを新しい機器に確実に再利用することを実現します。
ガートナー社は、「IT資産管理 (ITAM) は、IT戦略、アーキテクチャ、資金調達、契約上の決定及び調達決定の事業価値を最大化するために必要不可欠な、IT資産ライフサイクルのコストとリスクに関する正確な情報を提供します」と説明しています。
資産管理の目標を実現するために、ITAM ソリューションは3つの鍵となる要素が必要となります:
- 検出
IT資産は、それらの購入や変更に応じて、ITAMデータベース内に文書化されていなければなりません。IT資産を効率的に検出できないと、見落としや紛失の発生につながり、組織のセキュリティリスクを増大させる要因となります。
- 統合性
統合することで、管理者は単一のソリューションで全てのIT資産を確認・管理することが可能になります。統合されていない場合、資産管理者は、正確なインベントリ情報を入手して維持するために、スプレッドシートなどの別のツールが必要となるでしょう。
- 自動化
自動化によってヒューマンエラーを削減することができます。エラーが発生すると、不正確なインベントリ情報が生成されることにも繋がり、結果としてIT資産に関連するリスクとコストを増大させることになりかねません。ITAMソリューションは自動化ツールを備えており、資産要求にも対応可能です。
デジタルトランスフォーメーションに関して、デシュパンデ氏は次のように推奨します:「全てのプロセスを一度に自動化してはいけません。まずはよく取り扱うもので、複数のステークホルダーが関わるものから始めると良いでしょう。例えば発注書などがこれに該当するのではないでしょうか」。
最後に
UEMとITAM は、事業目的の実現をテクノロジーに大きく依存しているあらゆる組織にとって重要なものです。UEMは単一のインターフェースを用いてエンドポイント管理をシンプルにします。それと同時に管理者はITAMを用いて最新の情報を把握し、IT資産コストを削減することができます。UEMとITAMは、デジタルトランスフォーメーションの実現に取り組む組織にとって、決定的に重要な意味を持ちます。
ハードウェア資産管理の7つのベストプラクティスについてのインフォグラフィックは以下よりダウンロードしてください。
>> https://www.ivanti.co.jp/lp/itam/assets/s1/ig-7-hardware-asset-management-best-practices